2016/9/11
94歳最高齢のヴァイオリニストであるイヴリーギトリスのコンサートへ。
絶世期の演奏を聴いたうちの代表が「すごい!」と言っていただけに、めっちゃくちゃ期待して行きました。 ヴァイオリンを自由自在!!軽々と弾きこなす上に独特な音楽性! そんな噂を聞いていたもんですから、期待値が高かったのです。 しかし、
ステージに出てきたギトリスは、歩くのが精一杯。 ヴァイオリンを持つ手も弱々しく見えました。 風が吹いたら飛ばされてしまいそうなくらいです。 前半はベートーヴェンの春と、ヒンデミット。
ヴァイオリンを持つ腕は弱々しく、音もあまり出ません。
最後の大事な音は外してしまいます。
大丈夫かな〜、と思う部分がたくさんありましたが、 その反面ギトリスらしい音楽的な部分も垣間見えました。
休憩中は 「演奏家って引き際も大事だよね、、、。」なんて 思ってしまいました。 けど、それは全く、勘違いで、 彼のメッセージはそこでは無かった。 後半はトーク付きコンサート。 そこでやっと、 彼の温かさと音楽への愛情と聴衆への愛情が、伝わりました。 なぜ94歳になって、思うように演奏できなくなった今でも ヴァイオリニストとして演奏し続けるのか? 普通、悔しいはずです。 昔はあんなに弾けた人ですから。。。特に。。 引き際を考えて、止める演奏家も多いでしょう。 けど 彼にとって演奏を続けることには、 大きなメッセージがあったのです。
「ヴァイオリンを通して、自分の一生涯で何ができるだろう?」 そんな想いを94歳になった今も、 ずーーーーーっと持ち続けているのです。 これはそう簡単なことではないはずです。 実際今回のコンサートも、応援している伴奏ピアニストの友情出演でした。
伴奏ピアニストの集客を手伝う意味もあって、出演を決意したんだと思います。
そして 日本は第二の故郷というくらい日本が大好き!! 東日本大震災では、たくさんの海外の演奏家が来日キャンセルするなか、 自分にできることはないかと 「実費で日本に行って無料でもいいから音楽を届けたい」と 被災地の学校でコンサートをしたそうです。 イヴリーギトリスは、そんな大きな器と温かい心を持った 偉大なヴァイオリニストです。 こうゆう演奏家は滅多にいません。 彼はボロボロになっても、どんなに体が苦しくても、ヴァイオリンが鳴らなくなっても、 死ぬまで舞台に立ち続けるでしょう。 ヴァイオリンを弾くことが、 彼の生き様とイコールになっているのです。 それに気付いた時、 胸にこみ上げるものがあって止まらなくなりました。。。 そんな彼の想いが最後には聴衆にも伝わって、 昨日のコンサートはとても温かい空間になったのです。 そんなところを含めて、彼のファンは多い! ただ上手い、下手、ではないのですね。
感動ってどこで起こるかわかりません! 本当に奇跡みたいなものです(^-^
最近行ったコンサートの中で一番衝撃的でした。